書籍『マインドフル ・セルフ・コンパッション ワークブック』の「よもやま話」―ワークブックは読まねばいけないの?―


マインドフル・セルフ・コンパッション(MSC)では多くのマインドフルネス系プログラムと同様に、日常生活での実践を行うことが求められます。セッションで学んだことを日常に活かして頂くという趣旨です。「マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック」(星和書店、以下ワークブック)はそうした際の副読本としても使って頂くことができます。ここではワークブックにまつわる『あれこれ』を、徒然なるままに書いていきたいと思います。

ワークブックはMSCの原理と実践をわかりやすく解説し、自分で体験できるように作られています。コンパッションの姿勢を持ちながら、自由なかたちで、自分でMSCを体験できるように書かれています。でも体験とは「しなければならない」ものではありません。また正しい体験とか間違った体験もありません。あらゆる体験が自分にとって大切なものです。もし体験がうまくできなくても、それはそれで「体験」であり、コンパッションを向けるよい機会となります。ではワークブックは「読まなければならない」ものでしょうか?

実は、ワークブックは「読むべき本」でも「必読書」でもありません。大切なことは、ワークブックが「自分に必要なのかどうか」を自分で問いかけながら、ゆっくりと理解して頂くことです。最初のうちは、自分に必要かどうか自体がわからないかもしれません。必要かどうかは、自分の「声なき声」なのです。もしかすると「自分の声なき声は、今はまだわかってもらいたくはない」かもしれません。ワークブックやMSCの実践から離れてみることが、むしろコンパッションのある姿勢になることもあるかもしれません。まずは自分で「今、自分に必要なことは何?」と、自分の「声なき声」に静かに問いかけ、その「声」を自分で少しは理解できるかどうか、確かめてみてはいかがでしょうか。そうしていく中で、ワークブックに目を通すことが必要だと心から感じたときに、ほんの少しでも、斜め読みでも眺めてみるのがコンパッションある読み方かもしれません。

(監訳者:富田 拓郎)